乾いた竹やぶに春のシャワーがあった。
昨日の祈りが通じたか。
雨を待っていたのは竹の子だけでない。
草花も待ちわびていた。
椿も雨を喜んでいるようだ。
春の雨は私の心にも潤いをあたえてくれる。
莞鳴
〒610-1121 京都市西京区大原野上里北ノ町1262
営業時間 : 11時30分~22時00分(入店は20時まで)
定休日 : 月~木曜日の間で不定休
春の花便り2011年 04月 15日 「雨の慕情」か「雨に唄えば」?2011年 04月 14日 たけのこ(筍)はいつまで?2011年 04月 12日 桜が春の風に舞い散ると、竹の子を掘る農家の方が忙しくなる。 この頃になると朝は肌寒いが、昼間は暑い気候。竹の子を堀る 農家の方もタオルで汗を拭いながらの作業となる。竹の子を 掘るのは重労働だ。食べる側の私は、お疲れ様とこころの中で 手を合わす。
先代の亭主と世間話しをしたくて、たけのこ(筍)を湯がいている 部屋に入る。先代の亭主もたけのこ(筍)湯がきで汗をかいていた。 中にはいると米ぬかの匂いとたけのこ(筍)の甘い香りがする。
なんだか別の空間だ。
おっ。また来たかという顔して私を迎え入れる亭主に、ぶしつけに 質問する私。
「このあたりの竹の子はいつまでとれるのか?」と、たずねた。 「さーあ。わからへんなぁ。」と、天を仰ぐ亭主。
お天とう様だけが知ることといわんばかり。また、愚問を してしまったかと、私も一緒に天を仰ぐ。
「たけのこ(筍)も人間と同じで、早く成長して一人前になる もんもあるし、ゆっくりとでる大器晩成のものもある。」
亭主はこうも続けた。
「竹やぶも場所によって 早出(はやで)のやぶと遅出 (おそで)のやぶがある。日のあたる南向きのやぶは 概ね早出になるもんや。谷側のやぶは遅出になるしなぁ。」
農家に尋ねても答えはまちまちだとのこと。
5月のゴールデンウィークが過ぎたころに、先代の亭主を 訪ねてみると、亭主はたけのこ(筍)湯がきの部屋にいなく、 もうたけのこ(筍)は終わったのかと思っていると、亭主は 店先の竹やぶにいた。そして、掘りたての竹の子を私に みせてこういった。
「うちのやぶは わしと一緒で 晩熟(おくて)なんや。」
亭主は汗を拭い、手もちの水筒からうまそうにお茶を飲んでいた。 5月に入っても採れる、見事な竹の子をみて、 「晩熟(おくて)でも悪くないなぁ。」と、思った。
そして、僕の人生もこれからだと勇気をもらったような気がした。
その年、5月の下旬まで地元の孟宗竹の竹の子が採れていた。
莞鳴
現在の亭主自前の竹やぶにて竹の子を掘る。
掘りたての竹の子
たけのこ(筍)の旬は?2011年 04月 11日 旬という言葉は食材によく使われる。
「旬」とは10日間という意味があり、竹の子は10日で成長することから この字に竹冠をつけて「筍=たけのこ」と漢字になっているとあります。 これはたけのこ(筍)は旬に食べるものかと思っていた。
以前、先代の亭主、嘉三郎さんにたけのこ(筍)の旬はいつ頃ですか? と、聞いた事がある。先代はいつもの人なっこい笑顔でこうこたえた。
「そうやなぁ。そこの桜の花が満開になって、散る頃からつつじの花が 見ごろになるころやなぁ。」
また、先代はこうもいった。
「そやけど、一番はいいのは たけのこ(旬)にきくのがいいんや。」 と、手にしていた白子のたけのこ(筍)を私の顔にちかづけた。
たけのこ(筍)収穫の盛りになると 掘りたてのたけのこ(筍)からは 独特の香りがする。なんともいえないフルーティな甘い香りだ。
先代が言っていた目印となる玄関先のソメイヨシノの桜木は数年前、 道路の拡張で切られ、今はない。
でも、私には今でも満開の桜をみると、たけのこのあの甘い香りを 思い出さずにいられない。あれこそ たけのこの旬の香りだと 先代の声まで聞えてきそうだ。
今年も 桜の見ごろの季節になった。
莞鳴
待望の雨2011年 04月 10日 いよいよ、たけのこの季節が到来です。2011年 04月 07日
京都の西山でも枝垂れ桜が見ごろになり、いよいよ春らしき気候になりました。
これからソメイヨシノの桜が咲いていきます。京都の市街地ではすでに 8分咲き、昼間は上着をぬいで散策される観光の方の姿もみられます。
いよいよ春本番、たけのこ(筍)も本格的に登場します。すでに 親竹(オヤダケ)の選定もされる竹林農家も見られます。
<親竹(おやだけ)>
竹の子は地下茎でつながり、親竹が根をはり、春に竹の子をだします。 じゃがいもなどと同じで、親株、種株が必要になります。春の竹の子は すべて収穫するのでなく、将来、竹の子を出す親竹として数本残していきます。
また、8年以上の竹は切られ、新しい竹と交代していきます。新旧の タイミングの良い入れ替わりがあるからこそ、良い竹の子が育つのだそうです。
人間の社会でもそうありたいものですね。
莞鳴
たけのこ(筍)がではじめるのはいつ頃?2011年 04月 07日
ちんちょうげの咲くころ春のたけのこ(筍)は出始めるんや。
先代の亭主は私に庭先を指差して教えてくれた。
亭主はひとなつこい顔で私に微笑み、奥のかまどの方に去っていった。
亭主がもどってくると、その手に竹の子がその皮をとられ、白い肌をみせていた。 まだ湯がきたてらしく、白い湯気を出していたのが印象的だった。
大人になって「ちんちょうげ」は花であり、本当は「ジンチョウゲ」と呼ばれ、 漢字で書くと「沈丁花」となることを知った。だが今も、私はその花を 「ちんちょうげ」と呼んでいる。
先代の亭主はすでに亡くなってしましったが、ちんちょうげの花は 今でも私に春の訪れを香りとともに教えてくれる。
今年もちんちょうげが咲く頃、たけのこ(筍)がでてきた。
莞鳴 |